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需要の価格弾力性とは?中点法での計算と5つの決定要因を解説

皆さんこんにちは。Rakuです。

・弾力性って、結局なにを測っているの?
・値上げすると売上は増えるの、減るの?
・計算のとき、どっちの値で割るのか毎回迷う

そのような考えを持つ方多いと思います。

この記事では、経済学の「どれくらい?」に答える道具である弾力性を解説します。

需要と供給は「価格が上がれば量が減る」という向きを教えてくれますが、どれくらい減るのかは教えてくれません。そこを埋めるのが弾力性です。値上げの判断や、税の負担が誰に乗るのかまで、これひとつで見通せるようになります。

ぜひ最後まで読んでみてください!

弾力性とは「反応の大きさ」の物差し

弾力性は4種類ありますが、測っているものはどれも同じです。「あるものが1%変わったとき、数量は何%変わるか」。

名前何に対する反応か計算式
需要の価格弾力性その財の価格需要量の%変化 ÷ 価格の%変化
需要の所得弾力性所得需要量の%変化 ÷ 所得の%変化
需要の交差価格弾力性他の財の価格需要量の%変化 ÷ 他財価格の%変化
供給の価格弾力性その財の価格供給量の%変化 ÷ 価格の%変化
分子はいつも数量。違うのは分母に何を置くかだけ

4つとも構造が同じなので、1つ覚えれば残りは分母を入れ替えるだけです。

中点法:どっちで割るか迷わない計算方法

%変化を出すとき、変化前の値で割るのか、変化後の値で割るのかで答えが変わってしまいます。100円→120円は20%の上昇ですが、120円→100円は約16.7%の下落。同じ変化なのに数字が違う。

そこで使うのが中点法です。分母を2つの値の平均にします。

%変化 = (新しい値 − 古い値)÷ (2つの値の平均)× 100
平均で割るので、どちらの向きに動いても同じ数字になります。これが中点法を使う理由です。

先ほどの例なら、平均は110円。変化は20円なので、どちらの向きでも約18.2%。1つの区間に1つの弾力性が決まります。

計算してみる

ある商品の価格が800円から1,000円に上がり、需要量が500個から400個に減ったとします。

  • 価格の%変化 = 200 ÷ 900 × 100 = 約 +22.2%
  • 数量の%変化 = −100 ÷ 450 × 100 = 約 −22.2%
  • 弾力性 = −22.2 ÷ 22.2 = −1.0

判定は必ず絶対値で行います。需要の価格弾力性は理論上マイナスになるので、マイナス符号を見て「小さい」と判断すると逆になってしまいます。

弾力的・非弾力的の判定

絶対値が1より大きいか小さいかで、値上げの結果が逆になる 絶対値 = 1 非弾力的(1未満) 弾力的(1超) 価格ほどには数量が動かない 生活必需品・代替品がない財 値上げすると売上は増える 価格より数量が大きく動く 贅沢品・代替品が多い財 値上げすると売上は減る 判定は必ず絶対値で。需要の価格弾力性は理論上マイナスになるため。
  • 絶対値 > 1 → 弾力的:価格より数量が大きく反応する
  • 絶対値 < 1 → 非弾力的:価格ほどには数量が動かない
  • 絶対値 = 1 → 単位弾力的:同じだけ動く

そしてここが実務でいちばん効く帰結です。

非弾力的な財を値上げすると、売上(価格×数量)は増えます。客は減るけれど、減り方が値上げ幅より小さいからです。
弾力的な財を値上げすると、売上は減ります。客の減り方のほうが大きいからです。
「値上げすべきかどうか」の答えは、商品ごとに違います。

何が弾力性を決めるのか:5つの要因

① 近い代替財があるか

代替品が多いほど弾力的になります。値上げされたら乗り換えればいいからです。

② 必需品か贅沢品か

必需品は非弾力的、贅沢品は弾力的。高くても買わざるをえないものと、我慢できるものの違いですね。

③ 市場の定義がどれだけ広いか

狭く定義された市場ほど弾力的になります。

「食品」全体の需要はきわめて非弾力的です。値上がりしても食べないわけにいきません。でも「あるメーカーの特定のヨーグルト」なら話は別。他社に乗り換えられるので弾力的です。

④ どれだけ時間が経ったか

長期ほど弾力的になります。時間があれば代替手段を見つけられるからです。

ガソリンが値上がりしても、明日いきなり通勤をやめることはできません(短期は非弾力的)。でも数年あれば、燃費のいい車に買い替えたり、職場の近くに引っ越したりできます(長期は弾力的)。

⑤ 所得に占める支出の割合

家計に占める割合が大きいほど弾力的。住宅や車の価格が10%動けば必死に比較しますが、コショウが10%値上がりしても気づきすらしませんよね。

5つを貫く問いはひとつだけです。
「この価格変化から、買い手はどれだけ簡単に逃げられるか?」
逃げやすいほど弾力的、逃げにくいほど非弾力的。5つとも、逃げやすさを別の角度から言っているだけです。

練習:どちらが弾力的か

理屈が分かったら、実際に判定してみましょう。

  • 「都市ガスの需要は、長期より短期のほうが弾力的」→ 誤り。逆です。時間があるほど設備を替えられるので、長期のほうが弾力的
  • 「タッチパネル式モニターの需要は、モニター一般の需要より弾力的」→ 正しい。狭く定義された市場のほうが弾力的です
  • 「カフェラテの需要は、食用油の需要より弾力的」→ 正しい。カフェラテは贅沢品寄りで代替も多い。食用油は必需品寄りです
  • 「火災報知器の需要は、高級絨毯の需要より弾力的」→ 誤り。火災報知器は必需品寄りなので非弾力的。絨毯が贅沢品です

最後の2つは意図的に反転させた組み合わせです。「片方が贅沢品なら弾力的」というパターンを覚えただけでは、順番を入れ替えられると間違えます。毎回どちらが必需品かを考えるのが安全です。

供給の弾力性も考え方は同じ

供給側も「価格が上がったとき、どれだけ簡単に生産を増やせるか」で決まります。

  • 在庫があり、設備に余裕がある → 弾力的
  • 生産に時間がかかる、土地や鉱山のように増やせない → 非弾力的
  • 長期ほど弾力的。設備を増やす時間があるから

都心の土地の供給がほぼ垂直(きわめて非弾力的)なのは、値段が上がっても土地そのものを増やせないからですね。

なぜ弾力性が重要なのか

この道具は、このあとの議論でずっと使われます。

  • 値上げの判断:売上が増えるか減るかは弾力性で決まる
  • 税の負担:税を誰に課しても、より非弾力的な側が多く負担する
  • 政策の効き方:家賃規制や最低賃金の被害の大きさも、弾力性が決める

2つ目が特に面白いところです。逃げられない側が負担を押しつけられる——たばこ税が消費者に乗りやすいのは、たばこの需要が非弾力的だからなんですね。この話は税と政策の記事で詳しく扱います。

まとめ

  • 弾力性は「反応の大きさ」の物差し。4種類あるが構造は同じ
  • 中点法なら、どちらの向きに動いても同じ数字になる
  • 判定は必ず絶対値で。1より大きければ弾力的
  • 非弾力的なら値上げで売上増、弾力的なら値上げで売上減
  • 5つの決定要因は、すべて「買い手がどれだけ簡単に逃げられるか」を言い換えたもの

値上げを考えるとき、「うちの商品はお客さんがどれだけ簡単に逃げられるか」と一度問い直してみてください。答えがそのまま、値上げしていいかどうかの答えになります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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経済学

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