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寡占とゲーム理論|囚人のジレンマとナッシュ均衡をわかりやすく解説

皆さんこんにちは。Rakuです。

・囚人のジレンマ、話は知っているけど使えるほど分かっていない
・ナッシュ均衡と支配戦略は同じもの?
・カルテルがすぐ崩れるのはなぜ?

そのような考えを持つ方多いと思います。

この記事では、寡占とゲーム理論を解説します。

ここまでの市場では、企業は「価格」か「自分の数量」だけを見ていればよかった。寡占が違うのは、相手の出方を読まなければならない点です。だから新しい道具——ゲーム理論——が必要になります。

ぜひ最後まで読んでみてください!

寡占の3条件

  • 売り手が少数しかいない
  • 各社の行動が互いに影響し合う(相互依存)
  • 参入障壁がある

2つ目がこの単元のすべてです。

完全競争では、1社が何をしても市場は動きません。独占では、相手がいません。寡占だけが「自分の決定が相手の利益を左右し、相手の決定が自分の利益を左右する」という状況になります。

携帯キャリア、航空会社、ビール、コンビニチェーン——身近な市場の多くがこの形です。

起こりうる3つの結果

結果A:価格競争

互いに値下げで客を奪い合うと、価格はどんどん下がっていきます。極端には完全競争と同じ状態——価格=限界費用まで落ちます。

消費者には嬉しいですが、企業にとっては最悪の結果です。

結果B:共謀

逆に、各社が話し合って生産量を絞り、価格を高く保つこともできます。うまくいけば独占と同じ状態になり、その利潤を分け合えます。

この合意をカルテルと呼びます。多くの国で違法です。

ただし、共謀は法律で禁じられていなくても維持しにくいという性質があります。なぜかは、このあとのゲーム理論で分かります。

結果C:その中間

現実に多いのがこれです。完全競争ほど価格は下がらず、独占ほど高くもならない。暗黙のうちに激しい値下げを避けつつ、完全には協調しきれない状態ですね。

寡占の中心にあるのは、ひとつの対立です。
協調すれば全体の利益は大きくなる。でも、抜け駆けすれば自分だけもっと得をする。
この対立をきちんと扱うために、ゲーム理論が要るわけです。

ゲーム理論の道具立て

2社が、それぞれ「高い価格」か「低い価格」を選ぶとします。結果は4通り。それを表にしたものが利得表です。

2社の価格戦略と、それぞれの利益(単位:億円) B社:高い価格B社:低い価格 A社:高い価格A社:低い価格 A:50 / B:50どちらも得をする A:10 / B:70Aだけ損をする A:70 / B:10Bだけ損をする A:30 / B:30両方とも中途半端 相手がどちらを選んでも、自分は「低い価格」のほうが得 → 両社とも低い価格を選ぶ 結果は右下(30/30)。左上(50/50)のほうが両社にとって良いのに、そこへ行けない。

支配戦略

支配戦略とは、相手が何を選んだとしても、自分にとって最善となる戦略のこと。

「何であっても」という部分を落とさないでください。「たいていの場合よい」では支配戦略とは言いません。

探し方は単純です。相手の選択肢を1つに固定して、自分の2つを比べる。それを相手の選択肢ごとに繰り返します。

  • B社が高い価格なら:A社は高い(50)より低い(70)が得
  • B社が低い価格なら:A社は高い(10)より低い(30)が得
  • → どちらの場合でも「低い価格」が得なので、これがA社の支配戦略

表が対称なので、B社にとっても同じです。

答えより、この探し方のほうが大事です。数字が変わっても同じ手順で解けますから。

ナッシュ均衡

ナッシュ均衡とは、相手の戦略を所与としたとき、どちらも自分の戦略を変える動機を持たない状態のこと。

上の例では、両社が「低い価格」を選んだ状態がナッシュ均衡です。相手が低い価格を出しているかぎり、自分だけ高くしても損をするだけなので、動く理由がありません。

支配戦略とナッシュ均衡は、同じものではありません。
全員に支配戦略があれば、その組み合わせは必ずナッシュ均衡になります。
でも逆は成り立ちません。支配戦略が誰にもないのに、ナッシュ均衡は存在する——というゲームはたくさんあります。
ナッシュ均衡のほうが広い概念だと覚えてください。

なぜ「ジレンマ」なのか

ここがこの単元の核心です。

両社が「低い価格」を選んだ結果は、それぞれ30。でも両社が「高い価格」を選べば、それぞれ50でした。

両方にとってより良い結果が存在するのに、そこへ行けない。これがジレンマです。

行けない理由も明快です。「高い価格」の組み合わせは、ナッシュ均衡ではないから。相手が高い価格を出しているとき、自分だけ低くすれば50が70になります。だから抜け駆けの誘因が必ず働き、その状態は維持できません。

そして大事な点を。

誰も不合理ではありません。両社とも、自分の利益を正しく計算して最善の手を打っています。それなのに、二人とも損をする結果に着地する。個人の合理性と、集団の合理性がずれる——これが囚人のジレンマの本質です。

だからカルテルは崩れる

この枠組みを寡占に当てはめると、先ほどの疑問が解けます。

  • 共謀すれば、全体の利潤は最大になる(左上の50/50)
  • でも各社には、こっそり増産・値下げして自分だけ得をする誘因がある
  • 全員がそう考えるので、結局抜け駆けの状態に落ち着く

カルテルが崩れやすいのは、参加者のモラルが低いからではなく、構造的にそうなっているからなんですね。法律で禁じられていなくても維持しにくい、というのはこういう意味です。

繰り返すと、協調が生まれることがある

ただし現実の企業は、1回きりの勝負をしているわけではありません。何年も同じ相手と向き合い続けます。

ゲームが繰り返されると、話が変わります。

  • 今回抜け駆けすれば得をするが、次回から報復される
  • 長期的に見れば、協調を続けたほうが得の合計が大きい
  • だから、明示的な合意がなくても協調的な行動が生まれうる

ガソリンスタンドの価格が近隣で横並びになったり、業界が一斉に値上げしたりするのは、必ずしも密約があるからとは限りません。繰り返しのなかで、値下げ合戦が損だと学習した結果ということもあります。

この現象は暗黙の協調と呼ばれ、明示的なカルテルと違って立証が難しいため、競争政策上の難題になっています。

身の回りの囚人のジレンマ

この構造は、企業間だけの話ではありません。

  • 軍拡競争:両国とも軍縮したほうが良いのに、相手を信用できず拡大が止まらない
  • 広告合戦:全社が広告を減らせば利益は増えるのに、減らした社だけシェアを失う
  • 共有資源の乱獲:全員が控えれば資源が持続するのに、一人ひとりには取る誘因がある
  • 残業の張り合い:全員が定時で帰れば同じ評価なのに、抜け駆けの誘因が働く

どれも「個人が合理的に動いた結果、全体が損をする」という同じ形をしています。だから対策も同じ発想になります——ルールをつくる(規制)、関係を長期化する(繰り返し)、誘因の構造そのものを変える。

まとめ

  • 寡占の特徴は相互依存。だから相手の出方を読む道具が要る
  • 支配戦略は「相手が何であっても最善」。この条件を緩めてはいけない
  • ナッシュ均衡は「誰も動く動機がない」状態。支配戦略より広い概念
  • ジレンマとは、両方にとってより良い結果があるのに、そこへ行けないこと
  • 誰も不合理ではない。個人の合理性と集団の合理性がずれているだけ

ゲーム理論の面白さは、「悪い結果が、悪い人によって起きるとは限らない」と教えてくれるところだと思います。構造が悪ければ、善意の人ばかりでも悪い結果になる。だから責めるより、構造を変えるほうが速い——これは仕事にも組織にもそのまま使える視点です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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経済学

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