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完全競争市場の企業行動|利潤最大化と操業停止の判断を解説

皆さんこんにちは。Rakuです。

・「限界収入=限界費用で利潤最大」は覚えたけど、理由が分からない
・赤字なのに営業を続けるお店があるのはなぜ?
・長期には利潤がゼロになるって、それでいいの?

そのような考えを持つ方多いと思います。

この記事では、完全競争市場で企業がどう行動するかを解説します。

「赤字でも店を閉めないほうが正しい場合がある」——直感に反しますが、きちんと理屈があります。そこまで含めて整理していきますね。

ぜひ最後まで読んでみてください!

完全競争の4つの条件

  • 売り手も買い手も多数いる
  • 取引される財が同質(どの企業のものも区別がつかない)
  • 参入と退出が自由
  • 売り手も買い手も完全な情報を持っている

この条件から、決定的な性質が出てきます。個々の企業は価格を動かせません。市場が決めた価格を受け入れるだけ——これを価格受容者と呼びます。

なぜ動かせないのか。少しでも高くすれば、まったく同じ財を売る他社に客が全部逃げるからです。逆に安くする理由もありません。市場価格でいくらでも売れるのだから、わざわざ安売りする必要がない。

価格=限界収入=平均収入になる理由

価格を動かせないということは、1個売っても100個売っても、1個あたり同じ価格で売れるということです。

  • 限界収入(もう1個売ったときに増える収入)= 価格
  • 平均収入(総収入 ÷ 数量)= 価格

つまり価格=限界収入=平均収入。グラフでは、企業が直面する需要曲線が市場価格の高さで水平になります。

この性質が、このあとの議論をとても簡単にしてくれます。

利潤最大化の条件は、実は2つある

教科書に必ず出てくるのが「限界収入=限界費用」という条件です。まずは理屈から。

  • 限界収入 > 限界費用のとき:もう1個作れば利潤が増える → 増やすべき
  • 限界収入 < 限界費用のとき:その1個が利潤を減らしている → 減らすべき
  • だから両者が等しいところで止まるのが最適

前に出てきた「限界便益>限界費用ならやれ」というルールと、まったく同じ構造ですね。

ただし条件はもう1つあります。
「限界収入=限界費用」を満たす点は、実は2つあることがあります(限界費用の曲線がU字なので、下りと上りで2回交わる)。
正解は限界費用が上昇している側。もう一方は、利潤が最小になる点です。
これを落とすと、答えが正反対になります。

「利潤最大化」と「利潤が出ること」は別

ここ、混同しやすいところです。

限界収入=限界費用で決まるのは最適な生産量であって、利潤が出るかどうかではありません。

利潤が出るかどうかは、その生産量における価格と平均総費用を比べて判断します。

  • 価格 > 平均総費用 → 利潤が出ている
  • 価格 = 平均総費用 → 利潤ゼロ(損益分岐)
  • 価格 < 平均総費用 → 損失が出ている

そして利潤=(価格 − 平均総費用)× 数量。グラフ上では長方形の面積として読めます。

損失が出ているときも、限界収入=限界費用で決めた数量が「損失を最小にする数量」です。ルールは変わりません。

赤字でも操業を続けるべき場合がある

ここがこの記事のいちばん面白いところです。

大前提として、短期では固定費は支払わなければなりません。工場をリースしていれば、生産を止めても賃料は発生します。つまり短期の固定費はサンクコストです。

だから判断の比較相手は、固定費ではなく変動費になります。

短期の判断は、平均変動費と比べる 平均総費用平均変動費 価格がここなら:利潤が出ている → 操業する 価格がここなら:損失は出るが → それでも操業する 価格がここなら:操業を停止する 売っても変動費すら回収できない。作るほど損が増える 固定費は止めても払うのでサンクコスト。比べる相手は平均変動費であって、平均総費用ではない。
  • 価格 < 平均変動費 → 操業を停止する。売っても変動費すら回収できないので、作るほど損が増える
  • 価格 > 平均変動費(ただし平均総費用より低い)→ 損失が出ていても操業を続ける

2つ目が直感に反するところですが、理屈は明快です。

操業を止めても固定費は全額かかります。
操業すれば、変動費を回収したうえでおつりが出る。そのおつりが固定費の一部を埋めてくれます。
だから「止めるより、続けたほうが損が小さい」。赤字の店が営業を続けるのは、必ずしも経営判断の誤りではありません。

これはサンクコストの話と完全に同じ構造です。すでに確定している費用は、いまの判断に入れない。

供給曲線の正体

ここまでの話から、ずっと使ってきた供給曲線が何だったのかが明らかになります。

企業は「価格=限界費用」となる数量を選びます。つまり価格が与えられると、限界費用曲線の上で生産量が決まる。

したがって——

  • 企業の短期供給曲線 = 平均変動費の最低点より上の、限界費用曲線
  • それより下の価格では操業停止なので、供給はゼロ
  • 市場供給曲線は、各企業の供給曲線を水平に足し合わせたもの

「供給曲線は限界費用曲線である」——前の記事で余剰を測るときに使った読み替えは、ここで正式に証明されるわけですね。

長期:利潤はゼロに向かう

完全競争では参入と退出が自由でした。これが長期の動きを決めます。

  • 利潤が出ている → 新規企業が参入する → 市場供給が増える → 価格が下がる → 利潤が縮む
  • 損失が出ている → 企業が退出する → 市場供給が減る → 価格が上がる → 損失が縮む

どちらの動きも、利潤がゼロになるまで止まりません。だから長期均衡では——

価格 = 限界費用 = 平均総費用の最低点

という関係が成り立ちます。なぜ「最低点」なのかというと、前の記事で見たとおり限界費用曲線は平均総費用曲線の最低点を必ず通るから。価格=限界費用かつ価格=平均総費用なら、その交点は最低点しかありえません。

「利潤ゼロ」は倒産寸前という意味ではありません。
経済学の費用には機会費用(経営者が他で稼げたはずの額など)が含まれています。
だから利潤ゼロとは「他のことをやるのと、ちょうど同じだけ稼げている」状態。会計上はちゃんと黒字です。

そして、この長期均衡には嬉しい性質があります。平均総費用が最低になる点で生産されている——つまり社会にとって、可能なかぎり安いコストで財が供給されている状態なんですね。

よくある間違い

  • 「限界収入=限界費用」を満たす点が1つだと思う——2つあります。限界費用が上昇している側が正解
  • 利潤最大化と黒字を混同する——決まるのは数量であって、黒字かどうかは価格と平均総費用の比較で別に判断します
  • 操業停止の判断で平均総費用と比べる——比べるのは平均変動費。固定費はサンクコストです
  • 長期の利潤ゼロを「儲からない」と読む——機会費用込みでゼロなので、会計上は黒字です
  • 何が動いているのかを取り違える——参入・退出で動くのは市場の供給曲線。個々の企業の費用曲線は動きません

まとめ

  • 完全競争の企業は価格受容者。だから価格=限界収入=平均収入
  • 最適な生産量は限界収入=限界費用、ただし限界費用が上昇している側
  • 黒字かどうかは価格と平均総費用で判断する(別の問い)
  • 操業停止の判断は価格と平均変動費。赤字でも続けるべき場合がある
  • 長期には参入・退出で利潤がゼロになり、平均総費用の最低点で生産される

「赤字なのに閉めない店」を見かけたら、変動費は回収できているのかもしれないと思ってみてください。経済学の目で見ると、世の中の不思議な行動がけっこう合理的に見えてきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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経済学

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